温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

汽笛

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 祖母の実家である親戚の最寄り駅は、ホームの東端から下り線鉄路を横断して改札があった。

 列車から降りた僕らはホームを歩いて改札に向かう。ところが反対側ホームに停車待避していた機関車のすぐ横を歩かなければならない。

 線路と通路の間に仕切りはない。

 僕の身長より大きい機関車の動輪は怖いくらいだ、さらに横からも蒸気がシュッ、シュッ、と不気味な音を立て僕を包み込んでいる。

「ボー!」

 突然耳をつんざく音に僕は飛び上がって驚き耳をふさいだ。僕らの列車を待機していた貨物列車の汽笛だった、発車の合図だ。

 ブオ!ブオ!と煙突から真っ黒な煙を勢いよく吹き出し、車輪の前から出ていた蒸気も力を盛り返して徐々に動き出した。

 機関車が遠ざかっていくと貨車が静かな音を立てて通り過ぎていった。

「びっくりしたなあ」

 あまりにもおおげさに驚いた照れ隠しに祖母に言った。

「列車の一番後ろに乗っている車掌に『発車します』と合図を送るためやからな、小さな音では聞こえん」

 祖母も驚いたようであった。それにしてもこんなに大きな音を出さなくてもいいだろうに。

 親戚に来るときはいつも一番列車に乗ったから、いつもここでビックリさせられる、いやな駅だった。