温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

田植え祭り

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 5歳か6歳のとき、歩いて2時間ほどの山奥にある村へ田植え神事を観に行った。

 小さな集落の一つの田んぼを大勢の人が取り囲んでいた。

 いったい何をするのか分からないまま待っていると、集団で叩く太鼓の音が近づいてきた。

 男の人6人ほどが派手に体を動かしながら絞太鼓を叩き、その後ろには絣の着物を着て真っ赤な帯でたすき掛けにした女の人が続いていた。さらにその後ろに続いていた大勢の男の人も体にくくりつけた締太鼓をたたきながら田んぼの対岸になる畦道に並んで、こちらに向いた。

 普段田んぼには無い赤や黄色が田んぼの中や周りにいっぱいでてきて、派手に体を動かしながら太鼓を鳴らしている。

 田んぼの中では鋤を曳かせた牛と男の人が動き回っていた。その横では柄振り板で田んぼをならしている、田植え支度だ。牛も男の人も青い布を身に付けて着飾っている。

 やがて早乙女が田に入って苗を植えだした。

 田の周りにいる太鼓や笛で奏でる囃子は田植えが終わるまで続いていた。

 普段は静かな山村が大いににぎやかになっていた。

 

僕が田植え神事を見たのはこれが初めてで、その後いちども観る機会がなかった。

 場所についても山奥の集落だったことしか覚えていない。

現在でも田植え神事を行う地域も多いらしく、ニュースや動画に出てくるが、鋤を曳かない牛が田んぼの中を動きまわっていたり、牛の恰好をした人が鋤を曳いている。牛を飼う家はほとんどなくなり飼っていても農作業には使わないようだ。