温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

堆肥撒き

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 5月、麦刈が終った田んぼに堆肥を撒く作業に取り掛かった。

 昨秋に造った堆肥山を三ツ鍬で崩して負い籠で田んぼまで運ばなければならない。

 鍬を堆肥山に打ち込み、グッと引上げて背負い籠に入れていった。湯気があがり暖かい空気が漂っている、発酵が進んでいるのだ。ワラは黒こげ茶色に替わっている。

 暖かい寝床でのんびりと寝ていた大きなカブト虫の幼虫が掻き出され、あわてて丸くなっていた。

 僕の親指より一回り大きい。成虫になればりっぱなカブトムシになるだろう。堆肥を取り除いた土面に穴を掘って少量の堆肥とともに幼虫を埋め戻した。

 堆肥は背負い籠半分ほどしか入れてないのにズシッと重い。肩に食い込む重さに耐えながら田んぼまで歩いて行く。家族全員で朝から始めたが終わるのは夕方だろう、かなりの重労働だ。

 この重労働をしなくても済むように田んぼの隅に堆肥山を造る農家が多いのに、なぜかわが家は屋敷内の空き地に造っていた。

 翌日、田んぼに移した堆肥を母と長兄が押し切りで短く切って、僕が田んぼ全体に撒いていく。

 秋に糞尿を混ぜて造ったのに発酵しているから臭くない、そればかりか香ばしい匂いがする。

 押し切りにワラを添えるとき、うっかり自分の指を入れてしまったらワラと一緒に切り離されてしまう危険があるので、これは母がしている。

 母が堆肥化したワラ束を刃の上に載せて「ホイッ」と言ったら「ホイッ」と兄が応えて押し切りの柄を下ろすとザクッと小気味いい音をだしてワラが短く切れる。僕が両手で集め胸で抱えて田んぼ全体に撒いて行く。

 

次は牛を飼っている農家に頼んで田んぼを深く掘り返してもらう。