温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

 百葉箱

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 小学校の前庭に百葉箱と雨量計があった。百葉箱の中には気温と湿度を測る乾湿計が置いてあった。

 百葉箱の周辺は芝生になっていて、その中に雨量計が半分土中に埋められた状態で設置してある。

 授業で使うのは高学年になってから1回だけであとは放置状態だった。

 5年の夏休みのとき、ある生徒の発案により期間中の気温と雨量を、日割りで担当者を決めて記録したことがあった、午後3時の測定だ。

 僕の当番日、測定を開始すると雨量が多いことに気づいた。昨日の午後3時から今まで晴れて夕立も無かったのに1リットル以上ある。メスシリンダーに移すと黄色の色が付いていた。

「オシッコだ」

 僕は測定をやめて前の小川で器具を洗い元の設置場所に収めた。

 さて、百葉箱に置いてある記録簿に何と記入するか迷った。空白では怠けて測定に行かなかったと思われる。結局、該当日の枠に「オシッコ」と書いた。

 2学期が始まって理科の時間だった。記録簿を出してきた担任の男先生が黒板に数値を写していたが、ふと、手を止めて該当日の担当は誰だと聞かれた。

 僕が手を上げると先生から一言、

「ふざけんな」

 と怒られた。でも本気で怒ってはいない、どちらかと言えば笑いながらである。そのとき数人の女生徒が自分のときもオシッコだった、と言った。

「それでどうしたんや」

 先生が言った。

「測りました」

 女生徒たちは、通常通り計測して記録簿にも記入していた。

「だって、オシッコだとは思うけどするところを見たわけでもないし」

 女生徒は口をそろえた。

「色を見れば分かるやろ、臭いもするやろし」

「どうしたんや」

 僕の言葉をさえぎって先生が言った。

「測らずに捨てて前の小川で洗いました」

 僕の返事は無視して先生は該当日を黒板の端の方に記録した。「〇月〇日は雨降ったか」と皆に聞いていたが、そのうち職員室に行って宿題になっていた絵日記を数冊持ってきた。

 誰の絵日記かは分からなかったが、不審な日を絵日記の天気欄と対査していった。いずれの日も晴れだった、3回あった。

 いつも学校の庭や校庭で遊んでいる近所の幼い男の子数人がイタズラしたようだということになった。夏休み前の日曜日だったがオシッコしている男の子を見たという女生徒が僕を援護してくれたのだ。

 幼い子が雨量計にオシッコを入れたことは無理ないと僕は思っていた。

 きれいに刈り取られた芝生の中から径20数センチの受水口が出た形は、幼児ばかりではなく小学生だった僕でもやってみたいという衝動にかられるツボであった。もちろん実行する勇気はなかったが…。

先生は黒板に書いた該当日の数値に斜線を入れた。

 以後数日間、同級生の男の子は僕に「ふざけんな」と冗談を言った。

 この年、気温は32度、33度という日は続いたが、現在のような35度を超えることはなかった。

 梅雨が開けて10日間ほどは晴天が続き、8月に入ると雷雨がたびたび発生した。

 ある日午後3時ごろ、ものすごい雷雨に襲われていた。今日の担当者は計りに行けないだろうと思っていたら計測はちゃんとできていた。その日は女生徒の担当で母親が行ってくれたのだった。これには驚いた。当時、子のするべき用事を親が代わってするという発想が僕にはなかった。わが家では絶対ありえないのである。

「行くな」とは言っても「行ってやる」なんて言う親ではなかった。

 

 中学校は体育館の裏側に設置してあったが放置状態だった。

 小中学校とも風力計もあったはずだが、どこにあったのか記憶がない。