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温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

焙烙(ほうろく)

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 秋になると集落の中ほどにある大きな椎(シイ)の木の実が落ちていた。

 服のポケット一杯になるほど拾って持ち帰ると、祖母が焙烙鍋で炒ってくれた。小さいが香ばしくて美味い実だった。

 焙烙とは分厚い素焼きの土鍋である。油を使わないからゴマや大豆などを炒るのに適していて重宝した鍋だった。

 祖母は、メリケン粉に砂糖とタマゴを入れて固く練ったものを焙烙で焼いてくれた。油を使っていないので固焼きのような菓子ができあがった。

 寒の日に搗くアラレもこの鍋で炒った。アラレは砂糖入りカキモチをさらに細くサイコロ状に切ったものである。

    ☆          ☆          ☆

  数年前、この鍋が欲しいと思い陶器店で探したが見つからないので店員に聞くと、

「ガスを使うようになってから火力が強すぎて素焼き鍋は割れてしまう。もう、20年ほども前に鍋の底に金網を付けて火力を弱めるものも出たが、今では完全に無くなってしまった」と返事が来た。

 消えてしまった鍋である。