温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

田の草取り

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 夏の炎天下、祖母と母が田んぼの中を四つん這いになっている。稲のまわりに生える雑草や稗(ヒエ)を手で掻き取りながら土をかき混ぜている。稲の根に酸素を与えてやるのだ。水に足と手を入れての作業ではあるが、容赦なく背中に降り注ぐ真夏の太陽を避けるため、背中には椿の葉の付いた枝を背負っている、それでも暑い重労働だ。
 稗は背丈が稲より大きいため田んぼに生えるとポコッと顔をだしてくる。そのうえイネ科の雑草だから除草薬を散布しても枯れない。田んぼに這いつくばって手で取るしかないのだ。
「家の庭にゴミは落ちていても田んぼに稗は生やすな」と祖母はしつこく言っていた。
「田んぼに稗が生えているのをほったらかし(放置)にするような人間は怠け者だ」と言う風潮があった。
「あの家の田んぼには稗が生えている」と言う。すなわち「あの家の嫁は怠け者だ」ということだ。

 祖母と母はときどき立ち上がって腰を伸ばしながら日が暮れるまで田んぼのなかにいた。