温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

傘(かさ)

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新しいかさ
 おばあちゃんが買ってくれたかさ
 ぼくのかさだ
 外に出て、いきおいよく開いたらバリバリっと音がして
 ぷーんと新しい油のにおいがした
 とてもいいにおいだった
 はやく雨がふるといいのにな

 小学2年のとき、父兄参観日に教室の黒板に書き出されたぼくの詩だった。数日前、宿題としてだされた作詞を思案しているとき、祖母がぼくのために買った新しい番傘を持って帰ってきた。そして出来上がったのがこの詩だった。
 ただし、最後の1行「はやく雨が降るといいのにな」というところは、先生が無断で付け加えたものだった。わずか1行のことで、「さすが先生だ最後の1行で誌が生きた」と長兄はいったが自分の詩ではなくなったと寂しい気がした。
「よくできてるね」
 同級生のお母さんがほめてくれてもうれしくなかった。

 当時の傘は竹の骨組(ほねぐ)みに油を塗った和紙を張ったもので、番傘あるいは蛇(じゃ)の目傘と言っていた。
 破れやすい和紙の欠点を補うため紙の中に糸を組み込んだものもあったが、数年もするとあちこち破れ穴が開いてきた。

 現在のような金属製の骨組みに布や合成繊維を張った傘いわゆるコウモリ傘ができたのは、ぼくが中学生になってからだ。
 番傘にも、子供用の傘は小さくて軽く、年齢に合うよう各種<大></大>大きさがあった。