温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

肥後守(ひごのかみ)

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   絵・肥後守

 昔の武将ではない、折込式小刀のことだ。鉄製の柄に『肥後守』の銘が彫ってあった。
 刃をたたむと柄のなかに納まる構造になっていたから、柄というより鞘(さや)というのが適切なのかもしれない。
 学校で鉛筆を削ったり工作に使っていたから、ほとんどの少年がズボンのポケットにしのばせて持ち歩いていた。学校でも切出(きりだ)しナイフを持ち歩くことは禁止していたが、肥後守を持つことは認めていた。

 ぼくは、折り込んだ状態で10センチのものを、柄の端に開いている穴にたこ糸をつけてズボンのベルト通しに括(くく)っていた。

 少年の多くが持っていた。

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   絵・切り出しナイフ

 家で竹籠や竹笛などを作るときにも使った。
 刃が切れなくなったら砥石を持ち出して自分で砥いだ。
 下手に砥ぐと以前にも増して切れなくなるので、長い時間をかけて慎重に砥ぎながら何回も親指で刃を触わって、鋭(するど)さを確認しながら砥いでいった。
「よし、これなら良く切れそうだ」
 笹竹を切ってみた。
「うん、良く切れる」
 手拭で刃を丁寧に拭って鞘に収めた。
 ぴかぴかに砥いだ肥後守は、ぼくの宝物だった。