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温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

ヘリコプター

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 昭和30年(1955)のことだった。
 パタパタパタ…聞きなれない音が山の向こうから近づいてくる。
「ヘリコプターだ」
 直感で確信した。
 音の近づく方角の上空を見つめていると、2機のヘリコプターが山の向こうから姿を現した。
 初めて見るヘリコプターだった。
 何ヵ月か前のある日、
「ヘリコプターという飛行機がある」
 М君が地面に竹とんぼのようなプロペラを持った飛行機の絵を描いた。翼のない変な形をしていた。
「上空で止まることができるらしい」
とМ君がつけ加えた。そう言うМ君も見たことはない。
 いつかは村の上空を通るだろうと期待した。
 それが今、通過しているのだ。
 飛行機とはまったく違う、パタパタパタという歯切れのいい爆音は山に反響して腹に響いた。
 瞬きをするのも、もどかしく、じっと見つめた。
 あっという間に南の方角へ消えて行った。

「見たか、きのうヘリコプターが通過しただろ」
「見た、見た、大きな音だったな、パタパタといってたぜ」
「翼がなかったな」
 翌日、学校ではヘリコプターの話でもちきりになった。