温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

椿油

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  小学5年のとき、熟れた椿の実を学校へ持っていくと、
「これを教室の入り口に塗れば女先生がスッテンコロリンだぜ」
 同級生のY君が言った。
 椿の実の硬い殻を取り除いて中の柔らかい実を板敷き廊下に擦り込んでおくのだ。
「おもしろそうだな、やるか」
 仲間4,5人が集まって「今度の女先生の授業のときにやろう」と決めた。女先生は今年の春に教師になったばかりでまだ若いから怒らないだろう。
 ところが、これは実行しなかった。
 6年生の男子生徒が実行して女先生はみごとに転倒したが、実行グループは担任の男先生から強烈な体罰を受けたということを聞いたからだ。

 

 中学2年の秋、同級生のS君と2人で山を歩きながら椿の実を集めた。 
 山歩きが目的だったが、たくさんの実が採れた。
それを見た祖母が、湊地区にある搾油所で絞ってもらうと良質の髪油になると教えてくれた。
 搾油所では菜種油やごま油などの食用油しか絞ってくれないと思っていたぼくは半信半疑だったが、いとも快く引き受けてくれた。
 後年になって分かったことであるが椿油食用油だったのだ。
 椿油は一升瓶にほぼ一杯あった。
 それから毎日、祖母は、うれしそうに椿油を髪につけていた。