明治38年に勃発したという日露戦争が話にでることがあった。
日本海海戦では、福光の沖で大砲の音がいんいんと轟(とどろ)き、村の人たちは山に登って水平線に広がる黒い煙を見たという。
福光八幡宮の境内には、長さが1メートルほどもある砲弾がひとつころ転がっていた。日本海海戦のとき福光の浜に飛んできたといわれていたが、どの軍艦のものかはわからなかった。
江津沖で沈んだロシア軍艦には財宝が積んであったというので、昭和34年の夏に引き上げて温泉津の岸壁に陸揚げされた。だが、赤茶色に錆びついた鉄ばかりで、財宝の箱らしき木箱からは綿にしみこませた黒色火薬がでてきた。これは、乾燥すると爆発する恐れがあるので直ちに海へ投棄された。
結局、財宝は発見されなかった。