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温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

大元神さまと白蛇

 わが家の隣に元郷社・大元神社の跡地がある。
 大元神は、この地方の尊崇を集めた農耕の神であり、御神体は龍であるといわれている。
 郷社であったが明治39年の神社合祀令により福光八幡宮遷座され、跡地には小さな社が建てられている。
 社殿跡地を村では宮の壇と呼んでいた。
 宮の壇は昭和18年大水害のときに、周辺の田んぼを埋め尽くした砂を集めたため広い砂場になっていた。
 この社に白ヘビがいると言われていた。社は周囲の竹やぶに日をさえぎられ、いつもじめじめと湿っておりヘビの好みそうな場所になっている。
 村の子供たちは、その社に白ヘビがとぐろを巻いていると信じていた。ぼくもいちど覗いてみたいと思っていたがなかなか勇気がでなかった。
 5年のとき数人で社の戸を開けてみることにして、緊張しながらそーっと開けた。社の中には何もいなかった。白い御幣がひとつ立てかけてあるだけだった。

 この大元神には言い伝えがある。
 出雲でスサノオノミコトに退治されたヤマタノオロチの頭は邑智郡に逃れ八色石となり、尾っぽは福光の湊地区に逃れた。
 尾っぽは、やがて力を盛り返し村人に危害を加え苦しめたので、福光下村(現・市地区)の里の鎮守神であった大元神がこれを退治し、オロチは龍岩になった。

 白ヘビは大元神さまの化身であるかもしれない。
 次兄は「白ヘビを見た」と言っていたがぼくは見ていない。