温泉津町福光・遥かなる故郷

僕の少年時代(昭和20年から30年代)の思い出

村の鍛冶屋

しばしも休まず つち打つひびき 飛び散る火花よ はしる湯玉 ふいごの風さえ 息をもつがず 仕事に精出す 村の鍛冶屋 文部省唱歌 わが家で使う鎌や鍬などの農機具は隣町の鍛冶屋で買っていた。 金物屋で買うのが普通であったが、鍛冶屋で買ったものは修理も心…

叱られて

叱られて 叱られて あの子は町まで お使いに この子は坊やを ねんねしな 夕べさみしい 村はずれ こんときつねが なきゃせぬか 童謡・叱られて

野菊

遠いやまから 吹いて来る 小寒い風に ゆれながら 気高く清く 匂う花 きれいな野菊 うすむらさきよ 唱歌・野菊

蕗のとう

初春に雪を掻き分けて芽を出すふきのとう、天ぷらにするとわずかな苦みと香が口いっぱいに広がる。僕の好物だ。 幼少期、わが家の周りにはふき(蕗)が雑草のごとく群れていた。 だが、ふきのとうについてはまったく見たことも食べたこともなかった。食べる…

木守柿

トロッコ

「ええところ見つけたで」 夏休みのある日、次兄が僕に耳打ちした。次兄が中2で僕が小4のときだった。 「なんや」 「トロッコや、あれは気持ちいいで」 「どこや」 「ちょっと遠いけどな、道路を広げるため、今の道の横の谷を埋めているんや、あすこにある…

四日悲しやダンゴ餅

僕の幼少期、正月三が日は毎食餅の雑煮を食べ、夜は母も一緒に花札やトランプゲームでワイワイと騒いでいた。ほんに楽しい正月だった。 四日の朝、雑煮は小麦粉で餅の形に造ったダンゴであった。食べると粘りがなく全然うまくない、実に味気ない雑煮だった。…

一月一日(いちがついちじつ)

年の初めのためしとて 終わりなき世のめでたさを 松竹たてて門ごとに いおう今日こそ楽しけれ 唱歌・一月一日

お正月

もういくつ寝るとお正月 お正月にはタコあげて コマをまわして遊びましょ 早く来いこいお正月 童謡・お正月 大人になって忘れてしまった「ときめき」である。

初めてのお使い

朝は晴れていたのに午後になって降り出した雨は勢いよく降っている。 「兄ちゃんに傘を持って行って」 仕事をしていた母が納屋からでてきた。 小学校へ行っている長兄と次兄へ傘を届けるのだ。 母は、二人の兄が着古したオーバーコートを僕に着せた。身丈は…

雨降り

雨あめ降れふれ かあさんが じゃのめで おむかえ うれしいな ピチピチジャブジャブ ランランラン 童謡・雨降り (背景は元・温泉津小学校上村分校『現・地域会館』島根県大田市)

家路

遠き山に日は落ちて・・・ 情景とメロディーだけは覚えていたが曲の題名を思い出せないでいた。 メロディーはしっかり覚えているので学校で教わったはずだ、だとすると中学の音楽だろう。と思っていた。 最近、やっと思い出して、ドヴォルザーク作曲の「新世…

幼少期に最も悩まされたのが蚊である。 家に網戸はなく、戸や障子は開放したままであったから、蚊はいつも僕らにまとわりついていた。 僕たちを襲う蚊は、やぶ蚊とイエ蚊らしいのだが、両者とも体長一センチほどもある蚊で、同じように黒に白の縞があり僕に…

定番

小中学校時代、夏休みの宿題でよく描いた絵である。 当時の出来栄えがどのようなものだったかは、現物が残っていないので分からないが、浜辺で遊ぶ幼児、沖合に設置された飛び込み台、水平線上の入道雲と止まっているかのようにゆっくりと航行する船はいつも…

反抗

「今日はクラシック音楽を聴きます」 中学3年の3学期で音楽の時間だった。 先生は壇上の奥にあるテーブルの上から蓄音機を持ち出して蓋を開けた。 箱の横に付いているハンドルを数回まわしてから、箱の奥から伸びているアームの先に付いている、サウンドボ…

夕照(せきしょう)

晩秋

汽車

クヌギ

わが家の裏山は雑木林だったがクヌギの大木が多かった。 クヌギのことをマキの木と呼んでいた、といっても高野マキなどの槇ではなく、風呂焚きや台所で使う薪のことで、燃料として使うと火力が強くて、他の雑木より格段の良さがあった。 クヌギは木炭の材料…

中秋の名月

出た出た月が まあるいまあるい まんまるい 盆のような月が 童謡・月 祖母が月見だんごとサツマイモを縁側に置いて、母はススキを徳利型の白い花瓶に生けた、これがわが家の供え物だ。 わが家ではサツマイモを中秋の名月に合わせて初めて3個だけ収穫し、お…

ワラ(藁)ぶき屋根

「夏涼しくて冬暖かい」と言われているワラぶき屋根の家に生まれて高校卒業まで育ったが、このメリットに気づいたのは離郷した翌年に、瓦屋根の家に建て替えてからだった。 夏の休暇で帰省したとき、昼寝をしようと座敷に枕を出して横になった。 「暑い」 部…

七夕さま

ささのは さらさら のきばにゆれる おほしさま きらきら きんぎん すなご 童謡・七夕さま 幼少期、夜空の星はくっきりと見えていた。 現在、夜空を見上げても一つか二つしか見えない、天の川も北斗七星も、もう数十年見ていない。 7月のはじめに描き始めた…

ボベイとジージー(2)

先日(7月12日)投稿した「ボベイとジージー」について「いいね」を頂き、「ボベイは地元のスーパーに売っていましたよ、水槽に張り付いていました」との貴重なコメントを頂戴した。 「ほー」というのが僕の思いだった。ボベイという呼び名はわが家だけの…

森の水車

緑の森のかなたから 陽気な歌が聞こえましょう あれは水車のまわる音 「コトコトコットン ファミレドシドレミファ コトコトコットン コトコトコットン 仕事にはげみましょう コトコトコットン コトコトコットン いつの日か 楽しい春がやってくる」 童謡・森…

ボベイとジージー

サザエ(左がトゲのないもので僕らはトコナツと呼んでいた) 「明日海へ行ってボベイの炊き飯を作ろうか」 7月も終わりに近いころ、晩御飯を食べているとき、めずらしく母が言った。 「行こう」 誰も反対する者はいない。 ボベイとはカサガイの一種、マツバ…

植林

数年前に手に入れたわが家の山は元の持ち主が立木すべてを売り払って丸坊主になったままであったが、すでにシダや雑木が茂っている。 「このままではもったいない」 ということで植林することにした、僕が高三の夏休であった。 植林すると決めたのは母と長兄…

ホタル

ほう ほう ほたるこい あっちの水はにがいぞ こっちの水はあまいぞ ほう ほう ほたるこい 童謡・ほたるこい

鯉のぼり

いらかの波と 雲の波 かさなる波の なか空を たちばなかおる 朝風に 高く泳ぐや 鯉のぼり 文部省唱歌

福光城十無い淵伝説

3年前に投稿した「温泉津町福光・遥かなるふるさと」の大川の項で「とおない淵」伝説を記述していたところ、これについて読者の方から「姫路文学館で特別展示してある『怪談皿屋敷のナゾ』に出ていますよ」との貴重な御意見を頂いた。 さっそく姫路文学館に…

小魚のすり身

母の言いつけで隣町の魚屋へスリ身を買いに行った。 隣町へ行くには片道3キロほどしか距離はないが、自転車に乗ったままでは越すことのできない坂道を往復しなければならない。 嫌だが行かなければ僕の好きな鍋ものを食べることができない、しぶしぶ自転車…